緩和医療は、病気に伴う痛みや苦しみを和らげることを最優先とし、医師や看護師だけでなく、薬剤師や栄養士などの医療従事者やボランティア、家族が協力して行います。
末期がんは多くの場合、癌性疼痛という強い痛みを伴います。時には思考力を欠き、人格を崩壊させることもあるほどの痛みだと言われています。
癌性疼痛には、がん以外の起因による痛みが30%ほど含まれていると言われており、患者の心理状態によって痛みの質が変わるため、癌性疼痛を種類別に見極め、その患者にとって適切な対応を取ることが大切です。
緩和医療は、ホスピスや緩和ケア病棟で行われていますが、両者は名前が違うだけで基本的には同じものと考えて問題ありません。他には、自宅で緩和ケアを行う在宅緩和ケアがあります。
緩和ケアとともに「ターミナルケア」という言葉をよく耳にするようになりました。ターミナルケアとは、余命6ヵ月以内と診断された患者のケアを指します。診断された余命期間によって前期、中期、後期とさらに細かく分けられます。
一方、緩和ケアは末期を迎えた患者だけでなく、早期の患者であってもがん治療に伴う痛みをコントロールしたり、精神的なケアを行います。
つまり、その患者が置かれている状況によって、呼び方が変わるというわけです。いずれも、患者だけではなく、そのご家族へのケアも含まれます。
緩和ケアでは、痛みを緩和したりカウンセリングをする以外にも、カラーセラピーやアニマルセラピー、音楽療法などさまざまな取り組みが行われています。
中でも、リラックス効果だけでなく、治療の効果を高める補完的な役割を果たすリフレクソロジーが注目を集めています。リフレクソロジーを行うことで、モルヒネの量を軽減できたり、体力低下に伴う便秘の緩和、死への恐怖からくる不眠の改善などが報告されています(効果には個人差があります)。
リフレクソロジーの本場、イギリスではこういった効果が期待できることが一般的に認識されており、日本でも高い関心を持つ医師や看護師が増えています。実際に、リフレクソロジストを採用しているホスピスや老人介護施設などもあります。
日本では、日頃の疲れやストレス解消をサポートするといった認識が強いリフレクソロジーですが、さまざまな病気と闘う患者の症状を緩和へ導いたり、精神的サポートを行う施術として認識される日も近いと言えるでしょう。